みなさんこんにちは☆
野球大好きモルツです!
早速ですが、現代の野球界において投手の評価を語るうえで最も重要なパロメーターと言っても過言ではないのが球の速さではないでしょうか。
トレーニング技術の発達によって、近年では150km/h超えの速球を投げることは当たり前の時代となっています。
しかしながら、どんなに速い球を投げられたとしてもそれを軽々と打ち返してくるのがプロの一流打者。
今回はプロの世界で生き抜くために、打者との勝負に打ち勝つ術として、時代の流れに逆行する形で速球ではなく、あえて速度を落としたスローボールに活路を見出した投手たちについてご紹介していきます。
スローボールで球界を湧かせた9選手
ここからは、実際にスローボールで打者たちを翻弄し、観客たちを湧かせた選手たちをご紹介していきます!
星野伸之
スローボールピッチャーと聞いて、真っ先に名前が挙がるのが星野選手ではないでしょうか。
あの清原選手は、130km/hほどしか出ない星野選手のストレートを「星野さんのストレートが最も打ちにくい」と表現し、ロッテ一筋、初芝選手は往年の豪腕、伊良部選手を引き合いに出し「伊良部より星野さんの方が速い」と語るほど星野選手の真っ直ぐを早く見せたもの、それは星野選手の代名詞ともなっている80km/h台の超スローカーブ。
星野選手の遅球で最も有名なのは、当時バッテリーを組んでいた現オリックス監督の中嶋に、すっぽ抜けのカーブを素手で捕球されてしまったというエピソードでしょう。
この打てそうで打てないスローカーブを武器に、プロ通算176勝、2041奪三振を記録した星野選手は、速い球だけが全てではないということを、身をもって証明してくれた選手の1人と言えるのではないでしょうか。
星野選手のスローカーブが素手でキャッチされた映像はこちら↓↓
山崎福也
明治大学時代は、左投手でありながらMAX149km/hのストレートで打者をねじ伏せ、本格派左腕として名を馳せた山崎選手。
そんな山崎選手もスローカーブを武器にしている投手の1人です。
ストレートとの球速差は50km/h以上で、打者を術中にハメて手玉に取っています。
山崎選手が本格的にスローカーブを武器とするようになった裏には、ある選手の存在がありました。
それが先ほどご紹介した星野伸之さん。
山崎選手がオリックスに在籍していた頃、投手コーチを務めていたのが星野さんでした。
大学時代とは違い、なかなか結果を残すことができずにいた山崎選手は、それまで追い求めていたストレートの速さを捨て、スローカーブを活かした緩急を使うスタイルにシフトチェンジをしたのです。
その時に、脱力を意識して投げるようアドバイスを送ったのが星野さんだった訳です。
山崎選手はスローカーブの使い手としての意気込みについて、
「星野さんの後継者といわれるように頑張ります」
「でも、僕の方がボールは速いですけど」
と語り、一瞬だけ本格派左腕としてのプライドを覗かせたのでした。
伊藤大海
150km/hを超えるストレートと縦と横に曲がるスライダーをはじめ、多彩な変化球を操る伊藤選手。
そんな伊藤選手のもう1つの武器、それはストレートと50km/h以上も球速差のあるスローカーブです。
過去には2022年のオールスターに選出された際に「オールスター最遅を狙おうかなと思います」と試合前に予告し、実際にマウンドに上がると1球目から計測不能の超スローカーブを投げたこともあります。
伊藤はルーキーイヤーから試合中にスローカーブを投げるようになりましたが、その理由は「自分でもっと余裕を持って投球する意味でも、ああいうのはアリかなと思ったから」だそう。単純に遊び心のような軽い気持ちではじめたというのだから驚きです
そんな伊藤選手に対しては「勇気がある」と称する解説者もいます。
マウンド上での派手なガッツポーズや、追いロジンなどで話題に上ることも多い伊藤選手ですが、やはりその度胸は本物だったようです。
伊藤大海選手のオールスターでの投球はこちら↓↓
多田野数人
元メジャーリーガーである多田野選手もまた、スローボールを駆使した投手として有名です。
多田野選手の投じるスローボールの球速は60km/h~70 km/hであり、その遅さはスローボールの域を超え「魔球」と称されることもありました。
そんな多田野のスローボールが一躍有名となったのが2014年6月1日に行われた対阪神戦。
4番のゴメス選手に対し、1ボール2ストライクと追い込んだ場面で多田野選手が選択した勝負球は、まさかのスローボール。
多田野選手の投じたスローボールは、中継画面から消える程の山なりとなり、ど真ん中に構えたキャッチャーミットにスッポリと収まったのです。
解説もストライクではないかと語る程、制球された球でしたが判定は惜しくもボール。
この球にはゴメス選手も拍子抜けして見送るしかないといった様子でした。
日米通算19勝と、成績的には物足りない現役時代でしたが、私たちの記憶には圧倒的なインパクトを残した多田野選手だったのでした。
多田野選手がゴメス選手の投じた一球はこちら↓↓
今中慎二
中日のエースとして一時代を築いた今中選手。
そんな今中選手の代名詞と言えば、大きな弧を描きながら曲がる80km/h台のスローカーブではないでしょうか。
見ている側からするとなぜ打者は打てないのかと思うほどの投球でしたが、驚くことに最多奪三振のタイトルを獲得したこともあります。
そんな今中選手の生命線であったスローカーブですが、実は左手の骨折というアクシデントからうまれたものでした。
1992年シーズンに打球が左手を直撃し骨折した今中選手は、リハビリ期間中にストレートを投げる恐怖から、ストレートの代わりにカーブを多投していました。
まさに怪我の功名という言葉がぴったりで、この経験のおかげでストレートとの球速差は約60km/hという打者泣かせのスローカーブを手に入れ、その後の活躍につながったのでした。
大竹耕太郎
昨シーズン、現役ドラフトで阪神に移籍した大竹選手もスローボールを巧みに使いこなし、打者を翻弄しています。
2024年4月27日の対ヤクルト戦。
打席には長打もあるサンタナ選手を迎えた場面で、大竹選手は臆することなく79km/hのスローボールを投げ込んだのです。
サンタナ選手はなんとかファールとしましたが、打席内で苦笑いを見せました。
実は大竹選手がスローボールを投げるようになったのには、セ・リーグへの移籍がきっかけとなっていると言います。
パ・リーグとは違い、自身が打席に立つ機会が多くなり、その中で
「150km/hが出ていてもストレートしかないと分かっていたら、僕でもバットに当たる」と感じた大竹は、いかに打者に的を絞らせないようにするかを考えた結果、たどり着いた答えがスローボールだったわけです。
「遅い球が頭の中にあって、真っすぐに対応しようとすると、差されると思う」と打席の中で感じた感覚を、そのまま投球に反映したことが打者を惑わすスローボールの誕生秘話だったのでした。
大竹選手がサンタナ選手に投じたスローボールがこちら↓↓
小宮山悟
プロ野球選手の中でも自身で変化球を編み出した投手は小宮山選手ただ1人ではないでしょうか。
非常に低速でナックルのように揺れながら落ちる変化球、その名も「シェイク」を武器に打者を手玉に取った小宮山選手。
ナックルと最も違う点は球のスピード。
通常ナックルは100 km/hほどのスピードですが、シェイクのスピードはなんと80 km/h程度です。
ここまで遅い球が不規則に揺れながら落ちてくる為、打者にとってはバットに当てることも一苦労。
当時ロッテの監督を務めていたボビー・バレンタインは「振ろうとするとタイミングが違うので腰を痛める。誰もあの球を打てないだろう」とシェイクを大絶賛したのです。
現役時代には通算117勝を挙げた小宮山選手。その活躍の裏には、頭脳派と呼ばれた小宮山の独自の発想力が関係していることは間違いないでしょう。
三浦大輔
ハマの番長こと三浦大輔選手。
そんな三浦選手も強面のニックネームとは裏腹に、スローカーブによってファンを沸かせた選手の1人です。
2013年のオールスターに出場した際には、今や世界的な大スターにまで成長した大谷翔平選手に対し、球が遅すぎて球速表示がされないほどのスローカーブを投じ、見事にピッチャーゴロに抑えたのです。
打った瞬間に「してやられた」と言わんばかりの笑みを見せた大谷選手に対し、三浦選手は「してやったり」の表情を浮かべました。
三浦選手はかつて、スローカーブで三振を奪うことについて「打者との読み合いで裏をかいた時の気持ち良さはありますね」と語っており、並々ならぬ強打者たちがわずか90km/hほどの遅球に手も足も出ずに三振する姿に快感を得ていたそうです。
そんなスローカーブを武器にプロ通算172勝を挙げ、最多奪三振のタイトルを獲得したこともある三浦選手。その活躍の裏には、スローカーブの存在があったことは言うまでもないでしょう。
三浦選手と大谷選手の対戦はこちら↓↓
加藤貴之
精密機械のような制球力を武器に、日本ハムのエースとして君臨している加藤選手。
加藤選手の投じるスローカーブについては、意表を突かれた打者がど真ん中の球を見送った後に、3秒間ほどフリーズしたと話題になったこともあります。
力感のないフォームから、ドロンとした軌道で正確にコントロールされたまま、捕手のミットに吸い込まれていく球に、全くタイミングが合わず、ただ見送ることしかできない打者たち。
それはまさに打者を幻惑する魔球と言っても過言ではないでしょう。
「何がいいって、あのカーブ」
「打てる気がして手を出したらゴロってパターン」
監督の新庄さんがこのように語っている通り、リズム良く淡々と投げるそのペースに、いつのまにか打者はハマってしまっているのです。
普通であれば80km/h台のスローカーブを投げること自体、打たれるのではないかという恐怖心を抱くものですが、加藤の場合は同じ打者に2球続けて投じることもあります。
それだけスローカーブに対する自信があるということなのでしょう。
まとめ
一見、誰にでも投げられるのではないかと思ってしまうスローボールですが、球が遅ければ遅いほどそれをコントロールすることは至難の業なのだと思います。
球の速い投手にばかり注目が集まる現代ですが、その裏でスローボールを武器に戦っている選手たちがいるということをおわかりいただけたでしょうか。
その選手たちは皆、プロの世界で生き抜くうえでスローボールに活路を見出し、打者の打ち気をどのように崩すかを常に考えているのです。
スローボールは奥が深いですね。
それではまたお会いしましょう☆
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